今更抄

「今更でしょ」な話を今更

ブログを書こう

 別にブログでなくてもいいのだが、自分のよいと思ったこと/ものを分与できるスペースを持てるとよいなと思うのだ。SNS全盛の世を生きてきたZ世代に対しては今更なことかもしれないが、ときめいたものとか、話せるといいなという話だ。

 とは言ってもこの提案は精神衛生や自己表現/自己実現、また思考の整理や収益化といったような側面を軸に据えた提案ではない。夢への一歩というよりもむしろ、自己といったものから離れていき、外部へと流れ出してみる経験の提案ゆえにむしろ逆の発想と考えた方が近しい。

 

 一言にまとめると「利他的な行為」としての物書きとなりそうだが、「利他」を目的にした文章を書こうとは言ってない。利他は素晴らしい行為だし、もっと文化としてドネーションが根付いてくれるといいなと思っているが、そんなことをプロパゲートしたいわけではない。

 なんなら目的を排した文章、目的意識のない文章を書こうと言っている方が提案に近似している。

 文章は対象を明確にし、論点を絞ったうえで伝えたい内容にフォーカスして書いていくと説得的で効果的な文章になるというのが書き方のダイヤモンドだろう。それが出来る人が「頭の良い人」と称される属性の一部を担っていると言っても反論する人は少ないのではないだろうか。

 

 しかし、それとは違い、ただ好きなように書いて話すという、いわば素直な場所を少しずつでも形成しておくのは悪いことではないのだろうというチョッとした感覚、略してチョッ感がある。

 私たちは社会的に生きてしまう/生きざるを得ない部分があるために、発言や態度は殆どが社会と良い意味で一体化しているように感じる。感じない?

 

 このテの環境が救えないし掬えないものがある。すごく真面目に悩んでいたことなのに友人の何気ない一言で解決したり、とてもタフな問題だと思ったが外を通る若人の騒ぎ声でそんなこともないと知ったり、明確化しづらい何かがある。理想のヒロイン/ヒーローが常時理想的なわけじゃないのと似た何かだ。

 共感やトリートされるより、誰かが一笑に付してくれたら気が軽くなる予感を持つことが誰しも一度はあるだろう。太陽よりも月明かりやスターライトの優しさが好いことだってある。

 とても高尚な説が展開されていたり、先行研究を踏まえた議論が展開されていたり、ディアクロニック・シンクロニックな視点を持っていたりする記事や会話よりも、「なんかいい!」みたいな印象の羅列がめっちゃgoingしてるだけの方に惹かれることもある。エモーションの方が心にドキドキペポパポしてくるものだ。

 

 完全に運というか巡り合わせなのだけれど、そっちの方が大事な誰かにとって大事な契機だったりする。誰かに「あの時の言葉が」というフレーズから始める感謝は、大体相手にとっての意識とは違うところにあったりする。「え? あれが?」とか「どれだ……?」って顔されたりするじゃない。

 自分の観たものや読んだもの、体験したものや感じたものの中でポジティヴなものや「こういう視点や前提を持つと楽しいよ」みたいなものは言うだけ言っておくと、自分は楽しいし、もしかしたら誰かにとって何かのキッカケくらいになるかもしれない。

 もちろん直接のキッカケになるわけでなくても、遠い先で誰かの何かが繋がるための養分や間接的なキッカケになるかもしれない。

 どちらになったところで自分にとって何の利益(といっても直接的で自覚的な利益)になることなんてそうそうないんだけど、そんなことあったら嬉しいじゃん。

 そんな chase とは違う在り方に自他ともに開くことを許せれば、きっと何かは変わるだろう。

 

 表現ごとなので、拙かったり、どーでも良かったり、実力不足を実感したりもするけど、たまに自分の本意を見つけたりできるし、もしかしたら収益化できるかもしれない。やってみるだけやってみてもいいのではないかと思う。

 毎日・毎週コンスタントに書く必要なんてプロになると思う人以外には必ずしも要るわけではない。プロは名文を書く人でなく、一定の量や質を確保する技術ゆえにプロなのだ。日記だって毎日しっかり付けなければいけないものでもないように「気が向いた時に書く」とか「書ける時に書く」でいいんだ。

 

 ネガティヴなものは日記帳にでも留めておいて、ポジティヴなものの一部くらいはたまーにブログででも、もっと close になら会話ででも、還元したってバチは当たらないだろう。試みに、眠りの森へと行くのをほんの少し遅らせて、そんな時間を持つのはどうだろう。

 楽しい時間を過ごさせてくれた友に「楽しかった」と本人や周りに還元するように、面白がらせてくれた何かに対しても還元するのは悪くないと思うのだ。

 ありきたりな言葉しか紡げなくても、そもそもありきたりだから響かなくてもなんぼだし。ありきたりだからこそ響くこともあるのだし。

 こんなことは言っても、一番大切なものを分与するのはやはり難しい。自分が出来ていないにもかかわらず、こんなことを書いてしまってと苦笑いしてしまった。お詫びに最近流してるアニソンを貼っておく。

 

 

※修正履歴1:文末のリンクを楽曲「TOKIMEKI Runners 」からアルバム「TOKIMEKI Runners」へと修正しました(2022/07/04 22:10)